一週間前、久々に訪れた大阪城ホールで開催されたのは、ブリヂストンアンカーの新モデル発表会です。
“展示会”としては小さめの会場で展示台数も少なく、一見するとちょっと寂しい雰囲気に思えます。最近ブリヂストンの車種やカラーリングはどんどん絞られてきているから当然そうなります。
でもそれはブリヂストンに勢いが無いと言うわけじゃなくむしろその逆で、選択と集中でより良い製品を作る前向きなものです。その根拠は、アンカーがトラック競技や東京オリンピックでの開発ノウハウの蓄積を生かして作ったRPシリーズ。
RP9は発売年の2022年、名だたる海外ブランドを抑えて有名自転車雑誌でバイシクルオブザイヤーを獲得し、ブリヂストンが第一線に戻ってきたことを印象付けました。
そこで評価されたのは単純な“速さ軽さ”じゃなく、総合的な走りの質。スマートに加速しつつも足当たりが柔らかくて疲れない、心地よいライドフィーリングです。
テストライダーの感覚的な表現から、設計者がその根拠を読み取って変えていく。それを自社のカーボンラボで短期間で試作してテストライド。決められた開発期間の中でより多くのブラッシュアップを繰り返し、数字に表現できないフィーリングを向上させて行く。
数字に置き換えられない部分の性能アップって周りの理解は得ずらいだろうし、継続して行くことに勇気が要ることと想像できます。でも自転車を趣味にしている多くの人の最終目標は“速さ”じゃなくて“気持ちよさ”なわけで、テストライドとフィーリングを重視するブリヂストンにはとても共感できます。
前置きが長くなってしまったけど、この日のメインはRP9から派生したエンデュランスロードRE8。
“エンデュランス”と言うのは“耐久”なんていう意味ですが、つまり長時間乗っても疲れない、快適性重視のロードバイク。
多くのメーカーが出しているカテゴリーではあるのですが、RE8が面白いのは平均的なエンデュランスロードとレースロードの間を狙っているということ。
RP9から受け継いだエアロ性能だけじゃなく、剛性やハンドリングなどのバランスがレースバイク寄りのエンデュランス。
これは本当にたまたまですが、僕がここ最近理想的だと思っているサイクリングって、基本はラクにツーリングしつつ、時々現れる峠や直線で友人とのショートアタックが始まるようなものです。
ロードバイクを始めてまもない時はスピードに心を奪われ、でも数年乗ると疲れてゆっくり走りたくなる。でもやっぱりそれだけじゃ物足りなくて、スパイス的にスカッとカチッとした爽快さは必要で。
のんびりと景色を楽しみつつ、時々持ち前の加速性能で遊ぶ。リラックスとハイテンションが入り混じるのが楽しいと感じ始めていて、REはまさにそこをついていたので真っ直ぐに共感できました。
実は展示会よりも前に機会を頂いて試乗もしていたのですが、ぴったり!コンセプト通りのバランスです。商品説明から寸分の狂いなく期待通りの走りで、ブリヂストンの精度の高さも感じたのですが、それ以上に驚いたのはお尻への振動の少なさ。
近頃流行りの可動式ギミックは一切入っていないのに、微振動や突き上げ感が極端に少ない。シンプルにジオメトリーとカーボンの積層でこれを実現できるって本当にすごいと思います。
レースバイクに慣れている人からすると直進安定性やハンドリングの相性が違うかもしれないですが、少なくともTOLTの目指すサイクリングにはドンピシャなロードバイク。
山の稜線を描いたグラデーションに“日本”らしさを感じるのは僕だけかもしれないけど、海外ブランドが他勢のロードバイクの世界で、日本の峠をブリヂストンで走るってなかなか粋だと思うんですよね。そこのブランドイメージも含めて、僕の中でのブリヂストンへの再評価を感じた展示会でした。
※RE8は10月下旬発売予定で、現在予約受付中です。
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